「科学的な方法を用いる真の目的は、間違った考え方をしていないかどうか確かめることなのである。
一介の修理工にしても、科学者や技術者にしても、みずから招いた不注意が原因で、誰しもその判断に思い悩んだことがあるはずである。
だからこそ、科学や機械の知識が、どれをとっても退屈なほど慎重に思えるのだ。
だかもし不用意にも、科学の知識を美化し、それをあちらこちらにまき散らしたら、必ずそのしっぺ返しをくうことになる。
それにそんなことは、注意していてもたびたびあるものである。
だから極端なまでにも注意深く、飽き飽きするほど論理的にならざるをえない。
論理にわずかなずれが生じても、全科学体系の崩壊につながるのである。」
注意深く。これが合言葉だな。